野の花歳時記では淀緑地を中心に、淀城公園や淀近郊の畑のそばなどで見つけたり、廃屋の庭などに取り残されたようにひっそりとしかも力強く咲く花など、基本的に京都の淀・伏見区周辺で見かけた花の話を写真を交えてお届けします。
現在 69種類
ご注意
野草を趣味で料理し食べられる方も多いですが、一方で、毎年毒草を誤食して中毒になる方もいます。
特にニラに似た仲間は要注意です。スイセンやタマスダレは間違いやすいことで有名な毒草です。場所によってはニラと混植していることもあるようです。
ゲンノショウコとキンポウゲなどもよく似ています。
シュウ酸が多いスイバ(スカンポ)も食べすぎるとよくないようです。
タンポポに似た仲間は大丈夫だと思いますが(たとえ間違っても毒がないという意味で)、食べる際には十分に気をつけて自己責任でお願いします。

アメリカアサガオ(ヒルガオ科 サツマイモ属)
真夏に空の色を写したような花が、よく空き地や道端で咲いています。
花の直径は3~4cmくらいで、栄養不足のアサガオに間違われますが、第二次世界大戦以降に家畜の肥料などに混じって帰化したもので、畑では雑草として邪魔者あつかいです。
葉は3つに切れ込むものと丸葉があり、ピンクの花もあります。
花期 8~9月

アメリカフウロ(フウロソウ科 フウロソウ属)
北アメリカ原産の外来種で、春先に小さな薄いピンクの花を咲かせます。
和紙のような質感の花がフウロソウ科の特徴で、園芸種にはゲラニウムの名前を冠したものが多いです。
ただアメリカフウロはアレロパシー作用で発芽を阻害する畑の厄介者で、放っておくと大株に育つうえ、根が太いのでけっこう抜きにくいです。
そんな観点から見るせいでしょうか、たまに赤く色づく葉も、尖った実も、小さな花も好きになれません。
花期 5~6月

イキシア(アヤメ科 イキシア属)
本来は栽培種ですが、これは廃屋の庭で咲いていたもの。
よほど丈夫な植物なのか、毎年人の住まなくなった家屋のそばの草むらで、きれいなピンクの花を咲かせます。
この仲間はほかに、赤橙、黄色、白地に中心が青、翡翠色などの花色があり、店で球根が売られています。
花期 4月~5月中旬

イヌタデ(タデ科 イヌタデ属)
田んぼの畦や野原で普通に見かける雑草ですが、小さく細かい赤い花(本当はガク)が一斉に風に揺れるのは、過ぎゆく夏を感じさせる情景です。
昔の子供はこの花を「アカマンマ」とよんでお椀に盛り、ままごとで使っていたと聞きました。
今でもそんな子どもたちはいるのでしょうか。
花期 6月~11月

オオイヌノフグリ(オオバコ科 クワガタソウ属)
春の野はタンポポの黄、ホトケノザのピンク、そしてオオイヌノフグリの青の春色三色セットで美しく彩られます。
オオイヌノフグリは明治初年に入ってきた帰化植物で、この言いにくく、かつ残念な名前がついたのは植物学の父である牧野富太郎が在来種(花色は淡いピンク)にイヌノフグリの名をつけた関連から。
個人的には別名である瑠璃唐草や天人唐草のほうがよほどいい名前だと思うのですが、一向にはやらないですね。
花期 2月~4月

オオキンケイギク(キク科 ハルシャギク属)
キバナコスモスと混同している人も多いようですが、葉にコスモスのような切れ込みがなくペロンとした長いスプーン状なので区別しやすいです。
草地や河原のほか、高速道路脇にもよく群生しているのをみかけます。
外来生物法により特定外来生物に指定されているくらい厄介者だったのですが、最近の研究では抗がん作用のある物質が含まれていることがわかり注目されているそうです。
生命力が強いので、薬になっても効きそうですよね。
花期 5~7月

オオジシバリ(キク科 ノニガナ属)
春の野は特に黄色の花が多いのですが、黄色いタンポポのような花でおしべの茶色が目立つ花はたいてい、ジシバリ類かタビラコ類だと思います。
このオオジシバリの葉は切れ込みのないヘラ状で、印象としては薄くてペラペラしているイメージです。
特徴的な名前の由来が気になって調べてみると「茎が地面を這うようにして延び、所々で根を下ろし、その様子が地面を縛リつけているように見えるので、ジシバリ(地縛り)の名がある」とありましたがピンとこないです。
花期 4~5月

オニタビラコ(キク科 オニタビラコ属)
高ければ1mほどの花茎にタンポポ様の黄色い花を咲かせる植物で、名前に鬼がついていますがタビラコ類の中では花は小さい方で、花数は多いという特徴があります。
日本全国の空き地などどこでも見かけ花期も長い。これぞ雑草というイメージがしますね。
花期 5~10月

カタバミの仲間ーカタバミ(カタバミ科 カタバミ属)
日当たりのいい場所なら全国どこでも見かける雑草で、俗名が多いことでも有名です。
葉は赤いものもあり、日が陰ると花ばかりでなく葉も閉じます。
ヤマトシジミの食草ですがシュウ酸が多く、羊が食べると中毒を起こし、抜いても球根が残るので畑ではけっこう嫌われています。
なお、ももいろクローバーZのロゴはクローバーではなくカタバミだということです。
花期 5~7月

カタバミの仲間ームラサキカタバミ(カタバミ科 カタバミ属)
南アメリカ原産で江戸末期に観賞用として導入され、帰化したそうです。
畑の雑草でもあり、地下に鱗茎が残るため駆除がむすかしく、要注意外来生物に指定されています。
この仲間には花色や葉の模様の多彩な園芸種も多く、「オザギリス」という名前で流通しています。

カラスノエンドウ(マメ科 ソラマメ属)
カラスノエンドウはカスマグサ、スズメノエンドウと花の大きさが違う三兄弟のうちの最も花の大きい種類ですが、実はこれは俗称で、正式名称はヤハズエンドウだそうです。
大きくなると150cmほどになり、北海道を除く日本各地で見られます。
古代ヨーロッパでは食べるために栽培していたようで、若いつるや豆などすべて食用になるそうです。
花期3~6月

キキョウソウの仲間ーキキョウソウ(キキョウ科 キキョウソウ属)
キキョウソウは花弁がややズングリで、葉が心臓型で茎を巻くのに対し、ヒナキキョウソウは花弁の先が尖っていて、葉の形は卵型に近いことで見分けられます。
なぜかこの二種は日本版のWikipediaに載っていないです。
淀ではヒナキキョウソウが5月の中旬頃に咲き、キキョウソウは5月末辺りに開花します。別名ダンダンギキョウ。
花期 5~6月

キキョウソウの仲間ーヒナキキョウソウ(キキョウ科 キキョウソウ属)
北アメリカ原産で1931年に横浜で帰化しているのが見つかりました。
ヒナギキョウという花もありますが、花の色が実際のキキョウに似ているのはこちらの方で、濃青紫の花を段々に咲かせるから「ヒメダンダンギキョウ」の別名もあります。
花期 5~6月

キクザキリュウキンカ(キンポウゲ科 キクザキリュウキンカ属)
日当たりの良い湿ったところが好きなようで、これは八幡の背割りの川のそばで撮影したものです。
珍しいかどうかは分かりませんが、あまり他所では見かけません。
花弁は8~9枚で、高さ40~60センチの比較的大きな株になります。
ほかにもリュウキンカという植物がありますが、花弁の数とつるりとしたハート型の葉で見分けることができます。
花期 2~4月

キツネアザミ(キク科 キツネアザミ属)
開けた草むらの中で、ぴょんと背伸びするように花を咲かすキツネアザミ。
古い時代に渡来した植物で、アザミの花に似ているのに葉にトゲがないから「化かされた=まがい物」という意味でキツネの冠名がついたとか。
筒状花で大きく開くことのない花といい、ぼんやりとした薄ピンクの色合いといい、自己主張しないひょろりとした立ち姿といい、なんとなく中途半端なイメージですが、これでもれっきとした一属一種の花でもあります。
花期 4~6月

キバナコスモス(キク科 コスモス属)
メキシコ生まれのスペインの植物園育ち。日本には大正時代にはいってきた、陽気なイメージの花です。
よく似ていますが、一般的なコスモスとは同属別種のため交配しません。
もともとは栽培種ですが害虫もほとんどつかず、やせ地、乾燥に強いため、あちこちで野生化しています。
あまり花のない晩秋にも、くっきりとした黄色が目を引きますね。
花期 7~10月

キュウリグサ(ムラサキ科 キュウリグサ属)
花の形はワスレナグサにそっくりですが、キュウリグサは花も小さく茎に毛も多いので見栄えはしないです。
それでもよく目を近づければ、この小さなパステル調の水色が中心の黄色と相まって、花としても意外にかわいいことに気づくのではないでしょうか。花茎の先端がくるくる巻くのもポイントです。
名前の由来は「手で葉を揉むとキュウリの匂いがするからキュウリグサという」とありますが、安易な名前でちょっとかわいそうな気もします。
花期 3~4月

キンポウゲ(キンポウゲ科 キンポウゲ属)
比較的どこでも見つけることのできるキンポウゲは、日なたの草の中でも花弁の黄色がつやつや光って小さな自己主張をしています。
この植物を食べようと思う方はいないと思いますが、全草に毒があって危険なのでやめましょう。
他にもキンポウゲ科の仲間はトリカブトや福寿草などアルカロイド毒を含んでいるものが多いのですが、アネモネやオダマキ、クレマチスのようにきれいな花も多く見られます。
花期 4~6月

ゲンノショウコ(フウロソウ科 フウロソウ属)
野原などでよく見かける花で、花色には赤紫色と白色がありますが、赤紫色の花は西日本、白色の花は東日本に多いらしいです。
「現の証拠」の名前通り、江戸時代から民間薬として健胃、下痢止めに使われてきたようですが、採取するのは、葉のよく似たキンポウゲなどの有害植物と間違わないように、開花期がいいと思います。
花期 7~8月

コメツブウマゴヤシ(マメ科 ウマゴヤシ属)
公園の芝生や背の低い草地で、黄色い絨毯を作っているのを見かけます。
ヨーロッパ原産の江戸時代に入ってきた帰化植物ですが、じつはこのコメツブウマゴヤシはコメツブツメクサという植物に花も姿もそっくりで、おまけに花期も同じなのです。
インターネットなどで調べた結果、子葉の上部に鋸歯があり葉裏に毛が密生していることから、ようやくコメツブウマゴヤシの方だと特定しましたが、ちょっと難しいですね。
花期 5~7月

スノーフレーク(ヒガンバナ科 スノーフレーク属)
オーストリア、ハンガリーなどに分布する球根植物で、スズランに似た小花を咲かせますが、緑のアクセントがあるので見分けは容易です。
公園や庭に植えられる植物ですが、この写真のものは忘れ去られたような荒れ果てた庭に咲いていました。
生い茂る雑草に負けないような凛とした佇まいは、静謐な気品を感じさせてくれます。
花期 4~5月

スズメノエンドウ(マメ科 ソラマメ属)
カラスノエンドウより小さいのでスズメノエンドウだそうですが、花も目立たず白色にほんの僅かに紫が入ったような色合いです。
カラスノエンドウと同じような場所に生えますが、サヤの中には豆が二粒、慎ましく入っています。
このような花でも拡大すれば意外にきれいな花だったということがあるかもですが、手持ちのカメラではこれ以上拡大写真は撮れそうにありません。
花期 4~6月

スミレの仲間ーアリアケスミレ(スミレ科 スミレ属)
この花が咲いていたのは花壇の片隅に近い桜の木の下でしたから、もしかすると誰かが植えたのかもしれません。
近寄って見ると白い花色にはっきりとした紫の筋が入って可愛らしく、清潔感が感じられるきれいな花でした。
花期 3~5月

スミレの仲間ータチツボスミレ(スミレ科 スミレ属)
タチツボスミレは野のスミレの中でも一番よく目にする花で、これは一般的な淡紫色ですが、他の花色もあるようです。
この写真は淀城公園で、その中の稲葉神社の石段や城壁の合間に群生していたのです。
その薄紫がソメイヨシノの薄紅色との対比を描き、とてもいい景色を作りだしていました。
花期 3~5月

スミレの仲間ーツボスミレ(スミレ科 スミレ属)
花は白色で唇弁の紫色のすじが入っている小さなスミレです。花の上弁がねじくれているのが特徴でしょうか。
名前はツボスミレとニョイスミレのどちらが正当かという議論を見ましたが、そんなことはこの可憐な花にとってどちらでもいいことだと思います。
生育場所はやや湿った林や草地で、これは畑脇の草地で可憐な花を一杯に咲かせているところでした。
花期 4~5月

スミレの仲間ーヒメスミレ(スミレ科 スミレ属)
以前話題になったど根性大根ではないですが、このスミレは近くの駐車場裏のコンクリートとアスファルトの境目に小さな群落を作っているのです。
よくもまあこんな日当たりの悪いところにと思うのですが、毎年健気に花をつけて楽しませてくれます。
ヒメスミレはスミレの小型版ですが、葉の形がはっきりと違う(葉茎に翼がない)ので間違いにくいと思います。
花期 3~5月

セイヨウミヤコグサ(マメ科 ミヤコグサ属)
小さな黄色い花を咲かせた都草。緑のジュウタンを敷きつめたような草姿は、いかにも春の野原にぴったりといったところです。
小さくてもマメ科特有の花の形で、単独で咲くのがミヤコグサ。これはいくつかが固まって咲いているのでセイヨウミヤコグサの方ですね。
花期 4~6月

タンポポの仲間ーシロバナタンポポ(キク科 タンポポ属)
セイヨウタンポポに押されつつあるタンポポ界ですが、この花は意外にも在来種で西日本に多いらしいのです。
でも子供の頃からほとんど見たことがないですね。分布する場所が限られるのでしょうか。
この日は曇天でしたが、黄色い糸が浮いたような大きめの白花が、草むらの中でもはっきりと目立ちました。
花期 2~5月

タンポポの仲間ータンポポ(キク科 タンポポ属)
タンポポは花の名前を知らない人でも知っている花です。
在来種と帰化種の見分け方もいくつかあるようですが、夏や秋に咲いているのは帰化種です。
生薬 蒲公英(ほこうえい)は利尿、解熱、健胃に効果があるそうです。
ところで子供のころ、戦争中に根を乾煎りしてから煎じて代用コーヒーにしたと書かれているものを見て試してみましたが、味はあまり美味しくなかったです。
花期 在来種 3~5月 帰化種 4~9月 蝶はベニシジミ

ツクシ(トクサ科 トクサ属)
本来はスギナの項目とするところですが、ツクシの名前のほうがはるかによく知られているようなのでこちらにしました。
日本人の原風景的郷愁を誘うからでしょうか、見つけるとなんとなく嬉しくなるから不思議です。
昔はこれを佃煮や天ぷらにしたものですが、野原や空き地が少なくなった現代では一種の贅沢なのかもしれません。ときにはほろ苦い春の味覚を楽しみたいものですね。
花期 3~4月

ツタバウンラン(オオバコ科 ツタバウンラン属)
当時流行したのか、大正期にロックガーデン用として入ってきて逸出した植物はいくつかあり、このツタバウンランもその仲間です。地中海沿岸から大正元年にやって来ました。
トキワハゼやムラサキサギゴケなどにも似ていますが、こちらは石垣などの隙間に生え、ツルを20~30cm位上伸ばしています。
これも以前はゴマノハグサ科でした。
花期 6~8月

ツルニチニチソウ(キョウチクトウ科 ツルニチニチソウ属)
春に高貴な感じの紫色のスクリューのような花を咲かせる常緑のツル性植物で、ヨーロッパ原産です。
耐陰性があるため薄暗い薮や低木にに絡まるように伸びますが、茂りすぎると意外に駆除しにくく、苦労をさせられることもあります。
なお、観賞用には葉に斑や模様の入ったものがありますが性質が少し弱く、日陰では花が咲きにくいそうです。
花期 3~5月

ツユクサ(ツユクサ科 ツユクサ属)
畑に生える雑草の代表格ですが、はかない花のためか秋の季語として俳句によく用いられます。
朝露を連想させるのでこの名前がついたようですが、万葉集などでは「月草」と書かれているので、「つきくさ」が転じたとも。
着物の下絵に用いられる滋賀県草津の特産品、青花紙はツユクサの栽培種「オオボウシバナ」を使います。
花期 6~9月

トキワハゼ(ハエドクソウ科 サギゴケ属)
よく似た紫の小花を咲かせるものにムラサキサギゴケ、キランソウやカキドオシがありますが、このトキワハゼはその中でも最も目立たない花だと思います。
乾いた場所に生え、関西では冬を除いた通年見られることからトキワの名がついたとか。
ハエドクソウ科ですが以前はゴマノハグサ科でした。日本中で見られます。
花期 4~11月

ドクダミ(ドクダミ科 ドクダミ属)
半日陰のやや湿ったところに群落を作っているのをよく見かけます。
乾燥したものは「十薬」と呼ばれる有名な漢方薬で、利尿作用や動脈硬化、高血圧予防の効果があるほか、生薬では黄色ブドウ球菌や白癬菌を殺すほどの強い効果があるそうです。
とはいえ生のものはとても匂いがきつく、草を刈っている時にドクダミが混じっていると鼻が曲がりそうになります。残念ながら、この匂いはとても好きにはなれそうにありません。
花期 5~7月

ナガミヒナゲシ(ケシ科 ケシ属)
空き地などで風にゆらゆら揺れるオレンジ色の薄い花びらが可憐です。ただ見た目と真逆でとても強力な性質のため畑の嫌われ者でもあります。
葉と根から特定の植物の成長を阻害する物質を出し、種は未熟でも発芽するといいますからエイリアンのようですね。
日本にはいってきたのは昭和の中期なのに、ここまで全国に広がっているのは、車のタイヤにくっついて全国に運ばれていくからだといわれています。
花期 3~5月

ナズナ(アブラナ科 ナズナ属)
セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラと春の七草に数えられるナズナの花。白い花は儚いようで、じつは北海道から沖縄までどこにでも生える繁殖力の強い雑草です。
ちなみにあとに何も残らないことを「ペンペン草も生えない」といいますが、ぺんぺん草はナズナの別名だったりします。
花期3~5月

ナノハナ(アブラナ科 アブラナ属)
一口に菜の花といっても色々な種類があり、水菜や白菜などアブラナ科で、春に黄色い花を咲かせるものはすべて菜の花です。
では河原で黄色い花を咲かせるのはなにかといえば、これはアブラナではなく、実を和辛子にするカラシナであり、この写真はセイヨウカラシナです。
栽培種のカラシナが日本へ入ってきたのは弥生時代ですが、原種が野生化したものはセイヨウカラシナで、明治以降に入ってきたといわれています。
花粉の量は尋常ではなく、花の時期に河原を歩くと鼻がムズムズします。
花期3~4月

ニワゼキショウ(アヤメ科 ニワゼキショウ属)
刈り込まれた芝生のような場所が好きで、背の低い草が生えるやせて乾いた場所に群生しています。
花芯は黄色ですが花色には赤っぽいものと白っぽいものがあり、全体的にキリッとした印象を与えます。
北アメリカから明治時代に帰化したといわれています。
花期 5~6月 淀では5月初め頃から開花します。

ヌスビトハギ(マメ科 ヌスビトハギ属)
花色は萩に似ていますが、草むらなどの生えるよく見かける雑草で、特徴的な名前の由来は諸説あってよくわからないようです。
この草はいわゆるくっつき虫の一つであり、そばを通るとたくさんのさやが衣服にくっつき、かなり取れにくいのでイライラします。
日本にはこの仲間が9種類もあり、それぞれの見分けは難しいようです。
花期 7~9月


ノジシャ(スイカズラ科 ノジシャ属)
小さな小さな白花で、うっすらと青みがかっています。
ノヂシャは別名マーシュレタスといって、サラダのほかオードブルの飾りに使うベビーリーフのイメージがあり、草むらで自然に生えていることに最初は驚きました。
明治時代に導入されたものが帰化したもの、ということはけっこう古くからあるのですね。
花期 5~6月

ノバラ(バラ科 バラ属)
シューベルトの「野ばら」は有名ですが、正式名称はノイバラです。小さな五弁の花は、ちょっといちごの花にも似ていますね。道ばたや野原に生えますが、桂川の河川敷でも大きな群落を作っています。
営実という漢方薬にもなりますが大変な厄介者で、草とりをしているとトゲを手に引っ掛けたり、刺さったりするので見るのも腹立たしいくらいです。
地上ギリギリで株を刈り取っても、しばらくすると当たり前のようにまた茂っているのも難です。
花期は5~6月

ノビル(ヒガンバナ科 ネギ属)
食べられる野草の代表です。茎は中空でネギのような匂いがあります。
細長い葉は草むらでは目立たず、ひょろひょろとした茎の先に花が咲いて、やっとノビルがあると分かったりします。
白い小さな花を固まって咲かせますが、雄しべが長くてツンツンした印象ですね。
花期 5~6月

ハタケニラ(ヒガンバナ科 ステゴビル属)
ニラとついていますがニラ臭はなく、葉の裏中央に葉脈が一本通っているためニラとの違いは明白です。
ハタケとついているのは畑の雑草だからということですが、このネーミングは誤解の元でしょうね。抜き取ってもユリのような鱗茎が土中に散らばり範囲を広げる強害草です。
似た植物で栽培種のアリウム・コワニーは、花弁の外側に褐色~赤紫の筋が入らず、一箇所に20ほどの花が固まって咲きます。
花期 5~6月

ハナニラ(ユリ科 ハナニラ属)
南アメリカ原産の草花で、明治時代に観賞用に導入されたものです。
花色は白と薄紫。葉は名前の通りニラの匂いがします。
本種は栽培品種で、学校の敷地の片隅や個人の庭やプランターなど特に淀ではよく見かけますが、非常に強い球根植物で、逃げ出したものが道ばたで咲くこともあります。
これは人の住まなくなった住宅の、放置された庭に元気よく咲いていました。
花期 3~4月

ハルジオン(キク科 ムカシヨモギ属)
よく似ているハルジオンとヒメジョオン、蕾がうなだれていて茎が中空なのがハルジオンです。
北アメリカで1920年頃に観賞用としてやって来ました。
のどかな春の野の花のイメージですが花粉症の原因になり、アレロパシー作用で野菜の育成を阻害するばかりか除草剤耐性型も出現しているので、日本の侵略的外来種ワースト100にランクインしています。
なお「ハルジオンが咲く頃」は、乃木坂46の14枚目のシングルです。
花期 4~8月

ハルノノゲシ(キク科 ノゲシ属)
正式名称はノゲシで、春になると野原や河原などどこでも見ることのできる黄色い花です。
ヨーロッパ原産で、日本にははるか昔にやって来たと考えられています。
同じような種類にオニノゲシという触ったら痛い植物がありますが、ハルノノゲシは葉が半円状に茎を抱き、葉の元が尖っているところが大きく違うところです。
こちらは柔らかく、若葉を食べることができます。
花期 4~7月

バビアナ(アヤメ科 ホザキアヤメ属)
イキシアと同様に、これも廃屋の庭で見つけたもの。
背丈は50センチくらいの小型の球根植物で、和名はホザキアヤメです。
生い茂った雑草の濃い緑の中で、はっきりとした濃紫色はとても目立って美しく、近くを通るたびに眺めていましたが、ある日堀取られてなくなってしまいました。とても残念です。
花期 4~5月

ヒガンバナ(ヒガンバナ科 ヒガンバナ属)
秋のあぜ道を彩るヒガンバナ。中国からの帰化種で、山口百恵のヒット曲「曼殊沙華」のような優雅な別名もありますが、薄暗い墓場で咲いている毒々しい赤はちょっとハマりすぎて気持ち悪いです。
ほとんどの人が誤解をしているようですが、この花が田んぼの畝に咲いているのは、球根の毒を利用して野ネズミやモグラを避けるために植えられたものです。
栽培種は「リコリス」の名前で白、黄、ピンクなどの色があります。
花期 9月

ヒナギキョウ(キキョウ科 ヒナギキョウ属)
仲がいいのかニワゼキショウと一緒に咲いている姿を見かけるヒナギキョウ。キキョウに似ていて小さいのでヒナがついたようです。
刈られた草地からぴょんと茎を伸ばして咲く花は小さくて目立たないのですが、よく見ると空を映したような瑠璃色の五弁に別れた花びらと、三つに別れた白い飾り玉のような柱頭がとてもキュートな植物です。
実は名前がなかなか分からず、二年ぶりにようやく名前が判明した花でもあります。
花期5~8月

ヒメオドリコソウ(シソ科 オドリコソウ属)
明治時代に渡来したヨーロッパ原産の外来種です。
ホトケノザと同じような場所に生えていて形も似ていますが、葉の上方が赤紫色を帯びるので違いは明白です。
春の野の草花の中では印象も強いのですが、このくすんだ色合いのせいなのか子どもたちに摘まれることもないように思います。
突然変異などによる白花もあるようです。一度探してみてはいかがでしょう。
花期 4~5月

ヒメツルソバ(タデ科 イヌタデ属)
花は小さく金平糖のような形をしていて、花色も薄いピンクや白ですが、石垣に生えているとけっこう様になるというか、いい雰囲気を作りだしています。
明治時代にロックガーデン用として導入されたようですから、かなり裕福な人の庭に植えられたのではないでしょうか。
現在ではグランドカバーに用いられたりもするそうです。
花期 5~11月(真夏を除く)

ヒメヒオウギ(アヤメ科 ヒメトウショウブ属)
白色に差し色の赤が映え、はっとするほど印象的なヒメヒオウギ。
球根でいろいろな花色があるが本来は園芸種なので、これは栽培していたものが逃げ出したものだと思われます。
アヤメ科には同じような名前のヒオウギ、ヒメヒオウギズイセンなどがあるが種類は違います。
花期 5~6月

ヒルガオ(ヒルガオ科 ヒルガオ属)
名前の由来はもちろん昼になっても咲き続けているからで、花は一般的なアサガオより大きく、花色はピンクのみです。
どこでもよく見かける植物で、似た仲間に花の小さなコヒルガオもあります。
種はめったにつけず地下茎で増えていく多年草で、そのため駆逐するのは難しいようです。
花期 5~10月

ヒルザキツキミソウ(アカバナ科 マツヨイグサ属)
もともと大正時代に観賞用として導入されたものが、半野生化しています。
どちらかというと乾いた栄養分の少ないようなところが好きなようで、他の植物がほとんど生えていない街路樹の下などに群生していることも多いです。
かわいいピンクの花でつい持って帰りたくなりますが、直根のため移植してもほとんど根付きません。
花期 5~7月

ブタナ(キク科 エゾコウゾリナ属)
30~60cmの高さにタンポポ様の花を多数咲かせます。
ヨーロッパ原産ですが、札幌で発見されたのが1933年と、比較的新しい帰化植物ですね。
この代わった名前はフランスで豚のサラダと呼ばれているからブタナとなったとか。その安直なネーミングには脱帽です。
タンポポより苦味が少なく全草で食用が可能で、ギリシャでも食べられているそうですので、見かけたら一度味わってみても。
花期 6~9月

ヘビイチゴ(バラ科 キジムシロ属)
春に咲く黄色い五弁の花は、バラ科独特の形をしています。
ランナーを伸ばして繁殖するとても強い植物で、全部引き抜いたと思っても翌年には新芽を出し、しらっと花を咲かせていたりします。
イチゴらしくない表面がてらてらと光る赤い実は毒があるといわれることがありますが、それはまったくの迷信です。しかし甘みも味もないので食べても美味しくありません。
花期 4~6月

ホタルブクロ(キキョウ科 ホタルブクロ属)
以前は野山の道端や草むらなどでたまに見かけましたが、最近はあまり見かけないようです。
花色は白とピンクで、関西は白花が多いようです。
名前がよく知られた花ですが、名前の由来が子供が花にホタルを入れたからというのは、ちょっと眉唾だと思います。
花期 6~7月

ホトケノザ(シソ科 オドリコソウ属)
春の七草のホトケノザは田んぼなどで生育するコオニタビラコのことで、こちらはまずくて食べられたものではないそうです。
本州以南に生息し、冬の間放っておいた畑一面にピンクのジュウタンを作る畑の雑草ですが、花が可愛いのでさほど気になりません。
花期 3~5月

マツバウンラン(オオバコ科 マツバウンラン属)
ウンランとは海岸沿いに生える黄と白の花を持つ小さな植物ですが、この花は淡い紫で中心に白い帯が入り、リナリアによく似ています。
1941年にわが京都で発見されたアメリカ原産の外来種です。
葉も名前の通り細く花の咲く位置が高くてスラリとした草姿は清楚な印象で、群生した青系の花が風にたなびくのは、涼やかな風情を感じます。
なお科名について、元はゴマノハグサ科でしたが、最近の分類でオオバコ科になったようです。
花期 4~5月

マツヨイグサ(アカバナ科 マツヨイグサ属)
月見草と混同している人も多いですが、月見草の花は白くてしぼむときにピンク色を帯びます。
一種のパイオニア植物であり、空き地や火事跡に真っ先に育ちますが、他の植物が繁殖すると姿を消します。
しぼんだときに赤みを帯びるのが「マツヨイグサ」ですが、他にアレチノマツヨイグサ、オオマツヨイグサ、コマツヨイグサなどがあります。
花期 6~9月

マルバルコウ(ヒルガオ科 サツマイモ属)
熱帯アメリが原産の植物で、江戸時代末期に観賞用として渡来したものが野生化したそうです。
どこか頼りないようなツルをひょろひょろと伸ばし、先端付近で咲いた赤い五角形の花が風に揺れる景色は、ちょっとした秋の風物詩といえるかも知れません。
栽培種のルコウソウは葉が羽のように細かいので、すぐに見分けがつきます。
花期8~11月

ミゾソバ(タデ科 タデ属もしくはイヌタデ属)
小川や田んぼの用水路などの、栄養豊富な水辺に自生するタデの仲間。
日本全国に分布し、ソバがつくのは見た目からです。
小さいのでそれほど目立ちませんが、近寄ってみると金平糖に似たピンクと色のツートンカラーが可愛らしいです。
なお、花に見えるのは萼(ガク)だということですが、そんなことはどっちでもいいですよね。
花期 8~10月

ミント(シソ科 ハッカ属)
ハーブとしてとても有名ですが、探すと道ばたや空き地などに群生を作っているのを見かけます。
ミントは庭や畑には植えるな、といわれるほど性質が強く、地下茎でどんどん増えていきます。
これは京都競馬場裏の川沿いの小道で、夏に白い花が風に揺れていました。
花期 6~9月

ムラサキハナナ(アブラナ科 オオアラセイトウ属)
中国原産で江戸時代に観賞用として栽培されていたもので、諸葛菜(ショカツサイ)ともいい、花の色は紫のほかに白花もあります。
花の形が大根に似ていますが、別に大根の仲間というわけではありません。
花の種が販売されていますが野生化もしているくらいこぼれ種で簡単に増えていきます。
この写真は畑の横の土手に生えていたもので、栽培されたものより株は小さくても花色は濃く元気そうです。
花期 3~5月

メキシコマンネングサ(ベンケイソウ科 マンネングサ属)
日当たりの良い場所に固まって生えているマンネングサの仲間は、種類が多く判別が難しいのです。
この写真の植物も以前はコモチマンネングサとしていましたが、ムカゴがないこと、直立して伸び、花序が放射状に広がること、葉は輪生と互生が入り混じっていることから見て、メキシコマンネングサだと思います。
花期 5~6月

ユウゲショウ(アカバナ科 マツヨイグサ属)
マツヨイグサの仲間で明治時代に観賞用として導入されましたが、乾いた空き地などで群生を見かけます。
ピンク色の、小さいがキリッとした印象の花を咲かせ、まとまって咲いているとけっこう目を引きます。
ユウゲショウは夕化粧、つまり夕方に咲くという意味のようですが、朝からふつうに咲いています。
花期 5~9月

レンゲ(マメ科 ゲンゲ属)
レンゲが一般的ですが正式にはゲンゲで、「紫雲英」の字を当てることも。
稲の緑肥として、ミツバチの蜜源として昔から活用され、薄紅色に彩られた田は春の風物詩でしたが、年々見る機会は減ってきました。
有名な「やはり野におけ れんげ草」は江戸時代の俳人、滝野瓢水の句「手に取るな――」から。そのままでこそ美しい(あるべきところに置いておくほうがいい)ということを表す箴言として、現代でも通用しますよね。
花期 4月

ワスレナグサ(ムラサキ科 ワスレナグサ属)
薄青の小さな花とたおやかな姿から弱そうに見えますが、夏の暑さを除くとけっこう強い植物だと思います。
この写真は植えたものの種がこぼれて生えてきたものですが、北海道から四国まで各地で野生化しているようです。
誰もが知っている花言葉の「私を忘れないで」は、中世ドイツでドナウ川の辺りで恋人のために花を摘もうとして亡くなった騎士の伝説に由来するとか。豆知識ですね。
花期 3~5月