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水辺に来る鳥たち

​淀水路で出会った鳥たち

ここに記載した鳥たちは必ずしも水辺に生息する鳥というわけではありません。

淀は昔から、木津川、桂川、宇治川に囲まれた三川合流という特殊な地形にあたり、多くの鳥たちがやって来るのは、やはりその特殊な位置にあるからこそだと考え、ここではすべてをまとめて淀付近で見ることのできる鳥を「淀水路で出会った鳥たち」としました。

​なお淀周辺での出会いやすさを星の数で表しました。時期が合えば星の数が多いほど見つけやすいと思います。

(現在28種類です)

アオサギ(サギ科)★★★★ 

1メートル近い大型の存在感のある鳥です。渡り鳥ですが本州では留鳥で、黒い眉斑と同じく黒い羽毛が頭部から伸びています。

ほとんど単独で行動し、浅瀬に立ったり樹の枝に止まったりしては、じろじろと人間を眺めて警戒しています。

夜中に川べりを歩いていると、驚いて「ぐぇ、ぐぇ」とダミ声のような大声を上げながら飛んで行くのがちょっとうるさいです。

アオジ(ホオジロ科)★★★

地面をつついているスズメ大の鳥の種類は結構多いのですが、このアオジもその仲間。

草の実や昆虫を主食とし、漂鳥(暑さや寒さを避けるため日本国内を北上したり南下したりする鳥)ですが海外からも渡ってくるようです。

この鳥の特徴はなんといっても腹の羽毛の黄色と暗い緑色をした頭部ですね。少し暗い低木の下に隠れていてもいても、はっきりと目立ちます。

イソヒヨドリ(ツグミ科)★

イソヒヨドリは全長23センチくらいのハトより少し小さいくらいですが、野鳥な中では大きいほうです。

オスは頭から尾羽にかけて暗青色で、腹はレンガ色というべき暗いオレンジ色で、けっこう目立ちます。

もともと高山の岩礁地帯に住む鳥であり、日本では海岸沿いの港や磯が生息地帯だそうで、なぜ淀にやって来たのでしょうか。

このときは地味な色彩で鱗模様のメスも近くにいたので、カップルで営巣していたのかもしれませんね。

ウグイス(ウグイス科)★

ウグイスほど鳴き声を知らない人がいないのに、自然の中でその姿を見たことない人が多い鳥も珍しいでしょう。

もともと用心深く人のそばへは寄ってこないので、声はすれども姿が遠すぎて撮影できないことが多いのです。

このウグイスは抜けるような青空のもとで高らかに鳴き声をあげていました。​その澄んだ声はおもわず足を止めてしまうほど力強いのでした。

エナガ(エナガ科)★★

尾が長く、毛玉のようにふわふわ膨らんで見えるのがエナガです。

小さな群れを作り、木から木へ、枝から枝へ飛び回る忙しい小鳥といえばイメージしやすいでしょう。

体長14センチくらいでスズメより小さく、日本では二番目に小さい鳥だそうです。

繁殖期も群れで生活し、子育ても集団で行うのだとか。面白いですね。

カルガモ(カモ科)★★★★

子供を連れて歩く親の姿で有名になったカルガモですが、全国どこにでもいる鳥だそうです。

この地に姿を見せるのは冬くちばしの先が黄色いのとやや大型なのが特徴で、淀水路では集団で泳いでいる姿をよく見かけます。

このカルガモたちは多分夫婦でしょうね。二羽で仲良く餌を探していました。

カワウ(ウ科)★

ウの仲間らしき姿が川の上を飛行しているところは何度も目撃していますたが、警戒心が強いのか目の前でなかなか着水してくれず、はっきりとした姿を写真に撮れたのは行幸でした。

カワウは川だけでなく河口や浅海にも生息し近畿では留鳥で、全長は80cmほどもあります。

カワウとウミウの違いですが、くちばしの後方の黄色い模様が角ばっているのがカワウで、ウミウは三角ですのでこれはカワウです。

なお、嵐山の鮎漁で有名な鵜飼のウは、カワウではなくウミウです。

カラス(カラス科)★★★★★

カラスはスズメやハトと並んで最も目にすることの多い鳥です。

古来より八咫烏(やたがらす)として神格化される一方、不吉な鳥として嫌われている鳥でもあります。

記憶力と頭の良さもよく知られ、少年と鳥との友情物語などが語られるのもこのカラスですね。

なおハシブトガラスは澄んだ声で「カーカー」、ハシボソは濁った声で「ガーガー」鳴くので、遠くからでも簡単にわかります。

カワセミ(カワセミ科)★

カワセミの色はコーラルブルーにエメラルドグリーン。羽がキラキラと光って、まるで南国の海の色のよう。

実はこの色は光の反射によるもので、シャボン玉に色がついて見えるのと同じ原理だそうです。水に潜って魚を捕らえるのが上手で、川や湖だけではなく海に狩場を持つものもいるようです。

カワセミは臆病なためなかなか人の近くには来ないのですが、この日はうまく近寄ることができました。

カワラヒワ(アトリ科)★★★

タンポポの種を食べる鳥として知られ、河原などの開けた草地でよく見かけるのが名前の由来です。

これは春先に木に残った乾いた実を食べているところ。

スズメ大の小さな鳥で色味は地味ですが、飛び立つと羽の黄色が鮮やかに目立ちます。

​冬の渡り鳥または留鳥となっていますが、夏に見かけることは少ないように思います。

ケリ(チドリ科)★★★

田んぼや畑に来てミミズやカエルなどを捕食するやや大型の鳥で、目は赤くくちばしと脚は黄色、体長は36cm程もあります。雌雄同色で関西では留鳥となっています。

ケリとは「キ、キ、キ、キ」や「ケ、ケ、ケ」と泣くからです。巣の近くにやって来る他の鳥を追い払うときに大きな鋭い声で鳴き、この時も自分より大きなカラスを追い払っていました。

なお、ケリの漢字を調べると「鳧」と難しい字でしたが、この字が変換できたことのほうが驚きです。

コガモ(カモ科)★★★★

冬の渡り鳥で、鴨の仲間では最小種です。

メスは地味な色をしていますが、オスの婚姻色は鮮やかで、目の周りから後頸にかけて緑色をしていますが、暗青色に見える個体も見かけます。

食性は植物で、水に潜ることなく藻や水草を食べます。

越冬の終盤の2月末から三月にかけてつがいを形成して繁殖地に渡るのだとか。

この二羽は無事にカップルになれたようです。

 

コサギ(サギ科)★★★★

よく知られている「シラサギ」と言うのは総称で、これは白色サギ三兄弟のうちのコサギ。身体が小さく足先が黄色のが特徴です。

夕暮れ間近に餌を探しているコサギがいました。暗くなりつつある川面と対比するように、真っ白な2本の長い冠羽がクルクルと天使の輪のように揺れる姿は本当に愛らしく感じました。

ちなみにこの冠羽も夏のコサギの特徴の一つです。

シジュウカラ(シジュウカラ科)★★

甲高いよく通るさえずりの声「ツィピーツィピーツィピー」は草原の鳥のイメージにぴったりで、特徴のある声なのは近くにいるとすぐにわかります。

留鳥でススメサイズの小さな鳥で木の穴に巣を作り、山や林だけでなく市街地の公園にも飛んできます。

オスとメスとの違いは胸元にある黒い縦線(通称ネクタイ)が太さで、これはオスです。

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ジュウビタキ(ツグミ科)★★★★

桜を撮ろうとしていて、ふいにフレームに飛び込んできたところです。

群れを作らず一羽でいることが多いですがあまり人を怖がらず、早春から4月にかけてよく目にします。

このように黒とオレンジにはっきりと色が分かれているのはオスで、メスは全体的に茶色っぽいです。

小さな鳥ですがれっきとした冬の渡り鳥で、暖かくなるとチベットやバイカル湖周辺にまで飛んで行くのだとか。

こんなに小さな体ですごいですね。

シロハラ(ツグミ科)★

名前の通り腹が白く嘴は黄色で、つけ根に白い部分があり、体長24㎝でハトより少し小さいくらいです。

冬の渡り鳥ですが、西日本の山地でわずかに繁殖もしているようです。

この日、木の下のやや暗いところで、地面に落ちている餌をあさっていました。

実は今までこの鳥が淀地区にいることに気がつきませんでした。少し地味だからでしょうか。

スズメ(スズメ科)★★★★★

伏見は昔からスズメと縁が深いのです。

伏見稲荷といえば千本鳥居で全国的に有名ですが、実は大正時代からスズメの串焼きが名物になっています。五穀豊穣の神を祀る神社ですので、米を食い荒らすスズメを食べたといわれています。

ただし、食べてみると骨がバリバリとして身がほとんどなく、おいしいとは思いませんでした。

​「名物に旨いものなし」とはよくいったものです。

ダイサギ(サギ科)★★★

ダイサギはシラサギの中でもくちばしが長く体が大きいのが特徴です。

​比較的目にする機会は多いですが、真っ白なその姿は人の目を惹きつける優美さを持っています。

このダイサギは一生懸命魚を捕らえようとしているところでした。ようやく狙いを定め、すばやく水面から引きずりだしたのは…、残念、藻でした。

ツグミ(ツグミ科)★★★★

ムクドリによく似ていますが、こちらの方がスマートで眉斑、胸にはまだら模様があり、地味な色の割にははっきりとしたシルエットをしているため目立ちます。

結構人の近くまで来ることも多く、あまり他の鳥を見かけない冬の公園でも、地面を小走りに移動しては立ち止まる姿をよく目にすることができます。

ツバメ(ツバメ科)★★★★

民家の軒に巣を作る人間依存型のよく知られた渡り鳥ですが、全国的には数が減少しているようです。

一部は日本で冬をこすため越冬つばめと呼ばれ、森昌子の歌のタイトルにもなっていますね。

伏見の観月橋の宇治川堤外地には西日本有数のアシ原があって、そこが巨大なツバメのねぐらとなっていて、観察に訪れる人も多いようです。

優雅に飛んでいる姿を写真に撮りたいのですがなかなか難しいので、これは商店街のイルミネーションに止まったところ。

ハト(ハト科)★★★★★

人との関わりは古代メソポタミアのギルガメシュ叙事詩にも登場するほど古く、5000年以上前より飼育されていたそうです。

タバコのピースの図案やオリンピック会場で放たれる平和の使者のイメージがある一方、肺炎の原因となるフン公害で嫌わることもある鳥です。

よく見かけるハトは、カワラバト(ドバト)とヤマバトの2種類で羽の模様が違い、公園でよく人のそばを歩いているハトは警戒心の薄いドバト。早朝に「ポーポー、ポッポポー」と鳴くのはヤマバトです。

(写真はヤマバト)

ハクセキレイ(セキレイ科)★★★

尻尾をリズミカルに振って歩く姿が可愛い鳥で、この他にセグロセキレイやキセキレイがいます。違いは、目に黒線が通っているのがハクセキレイ。セグロセキレイは目の下が黒く染まっていて、キセキレイは文字通り黄色の差し色が入っています。

セキレイは水辺の鳥のように思われていますが、畑や駐車場でもけっこう普通に見られます。

 

ヒヨドリ(ヒヨドリ科)★★★★

公園などでよく見かける鳥で、果実や花の蜜を好み、淀でも河津桜の蜜を吸いに来るのを見かけます。畑では冬にブロッコリーやキャベツを荒らすので嫌われものです。

飼い主を見分ける賢さもあり、平安時代には貴族たちの間でヒヨドリを飼うのが流行したようです。

一ノ谷の戦いで、源義経が平家の軍勢を追い落とした山あいを「ひよどり越え」というのは、ヒヨドリの渡りの場所になっていたことだそうです。

ベニマシコ(アトリ科)★

「何か赤っぽい鳥がいる」ということで写真に撮って調べてみたところ、ベニマシコという名前だと知りました。

大きさはスズメ大で羽に二条の白線があり、腹の色が赤いのはオスでメスは胡桃色だそう。

冬は地面で草の実などを食べていて、繁殖地は北海道・青森の下北半島で冬鳥として本州に渡って来るようです。

ところでマシコとは猿のこと。顔が赤いからベニマシコとはこの鳥に失礼な話のような気がします。

ホオジロ(ホオジロ科)★

​大きさはスズメ大ですが尾羽根が長く、顔に走る黒い線のせいで頬が白く見えることからホオジロ。

日本全国に生息していて、主に地上や低い樹上で活動します。

最大の特徴は鳴き声で、昔から「一筆啓上仕り候」と聞こえるのだといいます。

本当でしょうか。

 

ムクドリ(ムクドリ科)★★★★

全長24cm。全身黒味のある褐色で、目の周囲から頬にかけて不規則な白斑があります。くちばしや足は黄色です

宮沢賢治の童話「とりをとる柳」に出てくる鳥はムクドリとされ、また俳句では冬の季語です。

害虫を多く食べるので益鳥ですが、反面、フンの被害や果物を食べることから害鳥ともいわれます。

夕方ねぐらに帰る前、電線に何百匹も止まって大きな鳴き声を上げているはちょっと気持ち悪いです。

メジロ(メジロ科)★★★★

ウグイス色とはウグイスではなく、実はメジロの色です。

あまり花がない時期の早春三月初旬、花の蜜を求めてたくさんのメジロが河津桜に群がります。

メジロは早朝には姿を見せず、やって来るのは少し暖かくなる9時を回ってから。花の蜜に夢中になってくると大胆になるのか、かなり近くで観察することもできますよ。

ムクドリとは餌がかぶるためか相性が悪く、よく追い払われています。

 

モズ(モズ科)★

百舌鳥とも書き、人を警戒するのでなかなか近くで姿を見ることはできません。「はやにえ」でとても有名な鳥ですが、その理由はいまだにわかっていないそうです。

頭の色は赤みがかったオレンジ色で、目の上をはっきりとした黒い帯が通っているのがオス、茶色い帯がメスです。この鳥はオスですね。

 鵙(もず)鳴くや むら雨かわく うしろ道 一茶

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